食物をよくかみ、味わい、消化すること、すなわち、人間にとって咀嚼は不可欠なものです。そのためのかみ合わせ治療は歯科医にとって最も重要なものです。正しくかめるようにすること、ただしくかめる義歯やインプラントを入れることは、あなたの人生を変え、毎日の生活に楽しみを与えます。
日本咬合臨床研究所があえてよくかめるためのかみ合わせ治療を行わざるを得ないのは次のようなことからです。
それは、一般の歯科治療においては、補綴といわれる入れ歯、ブリッジ、クラウン、インプラントなどの診査や診断はかむ運動(咀嚼運動)に基づいて行われるのでなくて、咀嚼とは関係のない限界運動という運動にもとづいて行われています。 さらに、これらの補綴物の製作も限界運動で行われており、かむ運動にもとづいては行われていません。 そのため、驚くことに、正しく食物をかめているわけではありません。
咀嚼とは、「口の中で食べ物をよくかみ砕き味わい、消化を助けること」です。では、咀嚼とはどのように行われているのでしょうか。例えとして、「ビーフステーキを美味しく味わい、消化されやすいようにする」ということを考えてみましょう。お皿の上にはビーフステーキが載っています。
お皿の上ではこのようにしてビーフステーキを美味しく味わう事ができますが、この一連の動きが口の中ではどのように行われているのでしょうか。
それを舌にある味雷が感じて美味しく味わう事が出来ます。お皿の上でビーフステーキを美味しく味わうことが出来るようにする事が、お口の中では一回の動作で行われる訳です。それだけ咀嚼と言う動作(咀嚼運動)はすばらしいものなのです。
歯の形が悪く、かむ面が磨り減って平らだったらどうでしょう。縦切り、横切りは出来ず、圧断は出来ますが臼磨も出来ません。お皿の上ではステーキ肉をトントン叩いているだけになります。それではステーキ肉を美味しく味わうことは出来ないでしょう。歯の形や並びが悪いと(口腔形態が悪いと)正しい咀嚼は出来なくなります。
正しい咀嚼が出来る事が大変重要であることは理解して頂けたとは思いますが、正しく咀嚼運動が出来ているかどうかを診断できる先生は、まだまだ全国でも300人もいないでしょう。
なぜかと言うと、今までは限界運動しか考えていなかったからです。限界運動とは、例えば、歯科医院で詰め物をする際によく行われるように、「カチカチ、ギシギシして下さい」と言う運動が限界運動になります。すなわち、現在ある歯の面に沿ってかんでいる状態から顎を前に出し、横に動かしその運動を確認している訳ですが、日常生活でそのような顎の動きを行って物をかんでいる事はあるのでしょうか。限界運動と咀嚼運動とはまったく異なります。ガムをかんでいる時の顎の動きを考えてみれば理解できるのではないでしょうか。そのような限界運動を食事の際に行っていることはまずありません。
しかし、今までの歯科診療では、限界運動しか理解されていませんでした。そのため、他の歯科医院で作られたものは限界運動で作られています。それで実際の食事が美味しく行えるのでしょうか。やはり咀嚼運動を理解していないと美味しく味わえるものを作ることは出来ません。咀嚼運動については、顎の動きをセンサーで感知し解析する「シロナソアナライザーシステム」という機械を用いることにより診断することが出来ます。この機械もまだ全国に300台程しか普及していません。
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